日本プロフィバス協会

世界で最も使用されているフィールドバスPROFIBUS
産業用Ethernetの標準PROFINET

5G

5Gの概説


5G-産業分野での次世代技術
将来、製造設備、流通施設はより柔軟、安全、効率を満たすものとなります。
採用される技術がキーとなります。5Gはインダストリー4.0を次のレベルに導き新たな展望を開きます。

モバイル等、従来の産業向けワイヤレスの他、リモートアクセスやダイナミックセンサー技術等、5Gは
産業アプリケーションに新たなタイプのドアをオープンにします。先進的なセキュリティと組合わせる
"スライシング"は同じ物理的ネットワークで複数のネットワークレイヤ(ERP, MES, DCS)の
ホストになれます。増大する帯域幅と接続デバイスが現場のIoTの拡張を実現します。
複雑なコンピューティングもセントラルコンピューティングから分散されたエッジコンピューティングに
移行しています。

5G技術の産業分野での採用は初期段階ですが、uRLLC用に規定されたレビジョン1.17
がリリースされています。レビジョン1.16は多くのデータ転送に対応します。ビデオ動画データの転送
に対応できます。レビジョン1.17では産業用途でのリアルタイムなデータ転送への対応が
重要になります。


しかし全ての産業用途に対応できたいないので対応デバイスの開発は進んでいません。また5G
対応デバイスの開発はコストもかかります。それでも産業分野の進展は速いのでデバイスと技術が
短期間で待機状態にもなります。PIは既に5G対応を進めています。初回パイロットアプリケーションも
発表しています。

一方ではパブリックなネットワークでもあります。プライベート5Gネットワークは産業用途での
アドバンテージがあります。産業設備、施設での制御とネットワーク管理に対応します。
高い信頼性、低遅延、ネットワーク変更要求への適合に対応します。同時にデータはオンサイトで
残ります。更なるセキュリティを実現します。

更なるアドバンテージは同じ場所の多くのユーザーに共通のインフラがあることです。同時に高帯域で
セットアップも簡単です。運用コストも削減できます。簡単な拡張は企業の視野を広げます。

ドイツの連邦ネットワークエージェンシーはローカルの産業設備、施設用に
3.7GHzから3.8GHzの100MHzトータルの帯域を確保しています。


5Gの詳細


今日のPI技術、、紛れもなく将来の5G用途へ繋がります。5Gは広範囲なレベルでのワイヤレス
通信への潜在的な可能性を持ちます。有線でのTSNが産業イーサーネットソリューションとして
確立してゆく傾向と似ています。5Gはワイヤレス技術のスタンダードになることでしょう。

問題はPI技術を5Gとフィットさせる方法と最大限にメリットを出すことです。応答時間等のパラメータや
機能安全で可用性を確認しています。機能安全では特にオートメーションでの5Gの必要性が
検討されています。可動デバイスの制御等は特に検討が必要です。

5Gソリューションとの統合の為に:
レイヤー2のインダストリアルプロトコル通信(ISO/OSIモデル)
短いサイクルタイムと高精度で安定した同期。
多くのイーサーネットフレームの伝送
IEC61784-3準拠の安全プロトコルの伝達
機能安全のスタンダード IEC61508に適合


厳しい安全用途でも5Gには多くの潜在的な可能性があります。
PROFIsafeはブラックチャンネルを採用しておりPROFIsafeデバイスとコントローラで5G経由でも
機能安全の為の特別なコンフィギュレーションを必要としません。

"PROFIsafe/PROFINET over 5G"システムの性能の為に重要なことは、データ交換タイム(DX)
です。更にPROFIsafeの安全監視時間(ウオッチドッグ)の考慮も必要です。データ交換タイムは
ウオッチドッグタイムより短いです。アプリケーションが安全状態になる時間です。

全てのデバイスが5Gで利用可能な状況ではありませんが、5Gは注目されているのある技術です。
PIの技術ではワイヤレスアプリケーションに5Gを採用できます。PROFINETデバイスは変わらなくても
モバイル接続が高速で安全になります。5GネットワークプロジェクトプランはTSNのプランと類似しています。
既に多くの経験があり現実的なソリューションを紹介しています。5Gの統合は技術的に難しいものでは
ありません。

 5Gのユースケース


アウディ様で5Gプロジェクトが実行中

アウディ様は2015年以来5Gについて検討、検証をしています。更に従来の産業用途に
モバイル端末、リモートアシスト、ダイナミックセンサー技術等のワイヤレス接続も検証しています。
新たな産業用途への調査もしています。これらの目的でアウディ様は2020年にバッテリーテクニカル
センターを建設しました。ここでのプロトタイプ製造設備の結果は新技術の採用に良好なものでした。
ここでのハイライトですが、
例えばWi-Fi等はゲージに囲まれたセル工程での通信に問題がありますが、5Gは金属に対応します。
通常では1台当り50GBまでのデータが製造中の車に転送されます。特にここでのデータ転送では
5Gが大幅な時間短縮を実現します。2020年からアウディ様とPIは5G上でのPROFINET, PROFIsafe
で3msのサイクルタイムと1msの遅延を実現しました。
これら数値は工場の自動化には事前に要求される重要な数値です。
AGV(無人搬送車)やARMS(可動ロボット)に対応できます。

アーヘンキャンパスでの実用テスト
アーヘン市の"5Gインダストリー キャンパス ヨーロッパ"はヨーロッパ最大の5Gの研究ネットワーク
と4つの工場スペースそして1km四方のオープンスペースで構成されます。
マシーンツールの工場スペース、アーヘン大学研究機関、製造技術IPTのフランホファーの機関は
装置、器具、工程と共に産業製造環境での比較研究をしています。
プロジェクトでは従来の製造ユースケースに5Gが使用された機能安全に適合できるか調査しています。
ドイツの産業に於いて5Gが従来のWLANやBluetooth等と比較してアドバンテージがあることを
明確にすることを目標としています。

結果:

5Gは他の遅延予測と同期可能な手段との共存を目的としていません。
5Gは短い周期タイムと信頼性のあるアプリケーションを可能にします。
PROFINETをブラックチャンネルとするPROFIsafeは通信技術として証明されたものです。

シーメンス様テストセンター

クアルコム テクノロジー様とシーメンス様はドイツ、ニュルンベルクのシーメンス オートモーティブ
テストセンターで共同の実証実験を開始しました。初の5Gスタンドアローン(SA)ネットワークの
デモを実施しています。3.7から3.8GHzでのインダストリアルな環境での試みです。
クアルコムテクノロジー様は5Gテストネットワークとインダストリアルでのテスト環境を提供します。
シーメンス様は実際のインダストリアルのシステムをセットアップします。コントロールシステムと
デバイス、そしてAGVも含むシステムです。 

産業用途での環境で5Gソリューションをテストしていますが、既存のIWLANとの統合をどのように
するかの課題があります。またPROFINETやOPC UA等、産業用プロトコルも5Gでの無線通信
を評価してゆきます。
ネットワークでPROFINETとOPC UAを使用しての5Gテスト:
最初はコントローラとデバイス間、次にコントローラ間通信で使用します。
コントローラとデバイス間での結果は良好です。

5GANGプロジェクト

5GANGプロジェクトの目的"産業用途での5Gの適用"ですが、15種類のモバイルネットワークを
ベースにした産業通信コンセプトを研究、開発しています。プロジェクトでは(WLAN, Bluetooth, 5G等)
複数の周波数技術を比較しています。インターフェースでのジッター、遅延、影響、干渉等、各要素での
調査、研究をしています。
PROFINETは1秒以内の更新時間ですが、5Gは低いジッターが計測されておりWLANに比べて優位点
があります。高速大容量の5Gとの組合せでPROFINETは約20msecの更新が可能です。
ジッターも10msが可能となります。

展望
紹介した事例は一部に過ぎません。ハノーバーメッセ展示センター等を始め多くのテストが
実施されています。シーメンス様、BASF様、CONVESTRO様等、お客様独自でも調査、
研究が進められています。実証実験は継続されることでしょう。

住所

〒141-0022
東京都品川区東五反田3-1-6
ウエストワールドビル4F
TEL:03-6450-3739