Q1. プロフィバスを使うには特別な技術者が必要でしょうか?
A. プロフィバスは簡単な設計になってきています。
私たちの経験では、PLCと現場機器の知識がある方でしたら、半日ほどでネットワークを設定するのに必要な情報が揃います。また、協会・ベンダーによるトレーニングコースもありますので、これを受講いただければ、ネットワークの構築方法などはご理解いただけると思います。
Q2. どのようなコネクターや信号線が使われていますか?
A. 一般的にD-SUB9ピンコネクタ、またはM12コネクタを使うケースが多いのですが、プロフィバス規格では特にコネクタの指定をしていません。
DPスレーブのテスト・スペックでは下記の通り定義しています。
“さまざまなコネクターを使うことが出来ます。特にコネクターの種類は定義していません。しかし、D-SUB9ピンコネクターを使用しないデバイスでも、プロフィバスD-SUBコネクターにて使える全ての信号を用意する必要があります。
更に、高速での使用を考えるなら、D-SUB9ピンコネクターとその他のコネクターを一緒に使ったときのラインパラメータについて考慮しなくてはなりません。“
これらのパラメータ(R,L,C)はプロフィバスDP・ガイドラインに明記されており、PROFIBUS-DPの基礎(英文書名:The Rapid Way to PROFIBUS-DP)には、回路図のサンプルを含む詳細が記されています。
この本(和文、英文)は日本プロフィバス協会でお求めになれます。
Q3. システムをアップグレードすることなく、既存のプロフィバスシステムに新しいデバイスを追加できるでしょうか?
A. プロフィバスの新しい機能は前の機能を包含しています。
新機能が出たら、旧機能のデバイスと同じライン上で使う事ができます。もし、システムを新機能に対応させることを望まなければ、システムをアップグレードすることなく継続して使用できます。
例えば、DPプロトコル向けの最新機能では非同期伝送が可能になりますが、既存のデバイスはこの影響を受けることなく使用できます。
Q4. システムやデバイスのチップが故障したらどうなりますか?
A. プロフィバスはラインの切断を考慮して、リダンダントな構成が可能になっています。
また、ノードの故障は無視されるか、マスターに停止トリガ信号を送信するかの選択ができます。
この場合、影響をうけないノードは引き続き運転を続行できます。
故障が発見されると、マスターは直ちに電文を再送信します。また、再試行の回数も定義できます。故障に関する情報は、一般にノードやノード
内のモジュールやチャネルの特定領域に格納されます。認定テストラボでのデバイステスト時には、予想される故障を想定したテストを行っています。
Q5.
GSDファイルとは何ですか?
A. GSDファイルは、プロフィバスDP/PA デバイスの通信仕様を確認するために使われます(マスター又はスレーブ)。 GSDファイル内の情報により、メーカに依存しないコンフィギュレーション・ツールが利用可能になります。 GSDファイル内にはベンダーインフォメーション、サポートする通信速度、タイミング・インフォメーション、サポートするオプション/特長、有効なI/Oシグナルなどの情報が記載されています。GSDファイルは全てのDP/PAスレーブに必要です。
また、GSDファイルは機器の特性を記述するものですから、機器メーカが用意しなければなりません。プロフィバス協会本部のホームページにGSDファイルを登録し、ユーザーの方が自由にダウンロードできるようにすることもできます。
Q6. ID番号とは何でしょうか?
また、どこで得られますか?
A. 全てのDP/PAデバイスタイプには各々ID番号が割り当てられます。開発メーカはこの番号を必ず取得しなければなりません。ID番号により、DPマスターは接続されたDP/PAデバイスのタイプを簡単に確定できます。マスターは各接続デバイスのID番号を、エンジニアリング時に設定したID番号と比較します。稼動時のデータ転送は、DPスレーブが正しいアドレスに接続されている時のみ可能です。これにより、パラメータ設定が間違えにくくなっているわけです。
更に詳しい情報は、日本プロフィバス協会までお問い合わせ下さい。
Q7. PROFIBUS-DPのケーブルの仕様はどのようなものですか?
A. プロフィバス規格では2種類のバスケーブルの仕様を定めています。ただし、今後はタイプAのケーブルを使う事が薦められています。
タイプAは特に高伝送スピード(>500kBaud)に薦められていて、タイプBに比べてネットワーク距離が倍になります。
技術仕様:
インピーダンス:3〜20Mhzの周波数で35〜165オーム
ケーブルキャパシティ:30pf / meter以下
中心径:0.34mu 以上、AWG22への対応
ケーブルタイプ:ツイストペアケーブル 1x2 又は 2x2 又は 1x4 線
抵抗:
110オーム/q以下
信号劣化:
ラインセクションの総距離内で最大9dB
最大
バス長:1500kbit/sで200m、93.75kbit/sで最大1.2km。中継器による延長可能。
Q8. ターミネーターが重要なのは何故でしょうか?
A. バスラインの末端での送信反射を防ぐためです。規格に合わないターミネータ、またはターミネータの取り付け忘れは、伝送エラーを発生しの通信の低効率につながります。最悪のケースは通信が不能となります。
Q9. プロフィバスのルーツは何ですか?
プロフィバス規格のベースは、下記のメンバーでの研究プロジェクト(1987-1990)です。
ABB
Phoenix Contact
AEG
Rheinmetall
Bosch
RMP
Honeywell
Sauter-Cumulus
Schleicher
Landis & Gyr
Siemens
そして、下記のドイツのリサーチ研究所5社です。
FZI Karlsruhe
LRT
IITB
WZL
LPR
ドイツ政府からの援助も多少ありました。
このプロジェクトの成果がプロフィバス規格パート1,2のDIN19245の原案です。 PROFIBUS-DPパート3は1993年に下記のグループによって定義されました。
Mr. Emmerling, MicroSyst
Mr. Dr. Endi, Softing
Mr. Schmitz, Pepperl+Fuchs
Mr. Schneider, MBB Gelma
Mr. Szabo, TMG I-tec
Mr. Thiesmeier, Kloeckner-Moeller
Mr. Tretter, Siemens
Mr. Volz, Bosch
Dr. Weber, Siemens
Q10. プロファイルとは何でしょうか?
どのようなものがありますか?
A. プロファイルは、ある特定のアプリケーションに対しての、付加的サービスとバスパラメータの約束事です。プロファイルを使えば、フィールドデバイスを接続するとき簡単にエンジニアリングできます。
現在、下記のプロファイルが定義されています。
NC/RC コントロールシステム(DP)
エンコーダーデバイス(DP)
ドライブテクノロジー(DP)
セーフティアプリケーション(DP)
プロセスオートメーション(PA)
Q11. 他のフィールドバスと比べてプロフィバスの主な利点は何でしょうか?
A. これはなかなか難しい質問です。つまり、たくさんのアプリケーションがあるだけ、その中で解決すべき問題のプライオリティもまた異なり、それによって選択の基準が異なってしまうからです。しかし、コストと利益の対比というところまで考えれば、以下の項目がその回答になると思います。
*プロフィバスはフィールドバスの世界で最も大きいマーケットシェアを有します。
特に、近年成長が著しい中国、東南アジア、インドでPROFIBUSは大きなマーケットを持ちます。
これらの市場に進出されたいときは、PROFIBUSの機能の付加、製品での使用を考慮すべきです。
*現在、プロフィバス製品とサービスのベンダーは2500近くになります。
*この業界において、最も大きいユーザー組織にサポートされています。
*ユーザーが良い品質の製品を要求することで、さまざまなベンダーがその要求に対応する製品を提供しています。
*厳しい競争と大量生産により競争力のある価格を維持できます。
* プロフィバス技術は社内ネットワークのさまざまなレベルで使用可能です。
* プロフィバス一つを知ることで、ネットワークの様々なレベルに適用できます。
*工場、プロセス、そしてビル・オートメーションを含む広いアプリケーションエリア
*安定したプロトコルにのっとった多くのチップがメーカから提供されています。
*設置稼動数>3000万デバイス
*プロセスコントロールの本質安全防爆が可能。
*たくさんの製造業者からマスターとスレーブの両方のデバイス・テクノロジーがサポートされています。つまり、真にオープンでベンダーに依存しません。
*プラットフォームに依存しません。例えば、PC,
PLC 又VMEバス・ベースのコントローラを提供できます。
*電文のデータは244バイトまで可能です。大きいデータのパケットさえも分割なしで送れます。
*100キロ以上の長距離伝送も可能です。
* プロフィバスの12Mbaud は今日のフィールドバスシステムのなかで、最速の伝送スピードです。
Q12. クラス1マスターとクラス2マスターの違いは何でしょうか?
A. クラス1マスターは、割り付けられたスレーブに対し定周期に通信します。また、クラス2マスターとの静的な通信も可能です。
クラス2マスターはスーパーバイザリー的な役目を持ちます。
コンフィギュレーション、診断、データ/パラメータ交換のため、他のクラス1マスター、そのクラス1マスターのスレーブ、そして自身のスレーブと通信できます。
Q13. 特にプロフィバス使用に適しているアプリケーション/セクターはありますか?
A. プロフィバスは既に工場や製造業、ビル・オートメーションの多くのアプリケーションで使用されています。例えば、ヨーロッパ中のゼネラル・モーターの自動車工場、ビットブルガーやギネスなどのビール工場、ロシア・クレムリンのようなビル・マネージメントなど多くの例があります。 またプロフィバスは、新しいデバイスの追加にも対応できるように設計されているので、当初は予想されなかったアプリケーションにも使われています。しかしながら、一番メリットがあるのは、次の2つのエリアでしょう。
*組み立て産業(Factory automation):FAでは信号配線のコストが大幅に減少します。つまり、多数の機器が直接バスに接続できるわけです。
*プロセス産業(Process automation):PAではケーブルコストそのものが削減されます。本質安全防爆も可能です(本質安全用バリアも減ります)。また、ツイストペア・ケーブルで全データを伝送しますので、多くのアナログI/Oカードも不要になります。
Q14. PROFIBUS DPとは何ですか?
A. PROFIBUS DPは特にオートメーション・システムと分散された機器(リモートI/O、インバータなど)の間のタイムクリティカルなアプリケーションに使われます。PROFIBUS DPはIEC標準フィールドバスIEC61158とヨーロッパ標準フィールドバスEN50170になっています。
Q15. PROFIBUS PAとは何ですか?
A. PROFIBUS PAはオートメーションシステムと分散化されたフィールドデバイスを接続するプロセスオートメーションのためのソリューションです。 物理層より上では、PROIFIBUS PAもPROFIBUS DPと同じプロトコルを使用するため、FA用オートメーションとプロセスオートメーションの間で透過性の高い通信をサポートしています。PROFIBUS PAのプロファイルはフィールドデバイスの働きを規定し、異なるベンダー間のフィールドデバイスの相互接続性と相互交換性を促進します。 PROFIBUS PAはIEC1158-2で規定されている本質安全を伴う伝送でも、またRS485を使った伝送でも動作可能です。 PROFIBUS PAは、例えば化学・石油化学のアプリケーションのようなプロセスオートメーションの特別な要求にも対応できます。
Q16. PROFIBUS FMSとは何ですか?
A. PROFIBUS-FMSは工場の階層レベルにおける、上位(セル)レベルとのフィールドレベルでの汎用的なソリューションです。
中程度のスピードでの非同期や同期
データ伝送を含む広範囲なコミュニケーション・タスクを実行するために、フィールドバス・メッセージ・スペック(FMS)サービスは広範囲の機能をフレキシブルに提供します。 PROFIBUS-FMSはヨーロッバのフィールドバス標準EN50170に含まれています。現在、PROFIBUS FMSの機能はPROFINETに含まれるため、プロモーションはされていません。
Q17. PROFIBUSはオープンなシステムでしょうか?
それとも独自システムでしょうか?
A. PROFIBUSは完全にオープンです。
元々、1989年にドイツでDIN19245として、そして、1996年7月にEN50170として標準化されました。 また、2000年1月にはIEC61158として、国際規格にもなりました。IEC61158/EN50170のスペックは各国のIEC/ CENELEC を通して入手可能です。また、プロフィバスの規格は各国のプロフィバス協会で販売しています。
Q18. PROFIBUS・PROFINETの機器を開発するにはどうしたらよいでしょうか?また、認証についてはどうなりますか?
A. PROFIBUS・PROFINET製品の製品開発のページをご覧ください。 (開発説明のページへ)
Q19. PROFIBUSに接続している機器のランプが赤色になり、PROFIBUSが異常のようです。どのように対処したら、良いでしょうか?
A. PROFIBUS・PROFINETはオープンなプロトコルで動いていますので、アラームチェックをサポートする会社または機器がマーケットにたくさんあります。
PROFIBUSの異常を疑う前に、
・PROFIBUSの異常か?
・PROFIBUSが正常だから、エラーを通知したのか?
をチェックしてください。
大まかにPROFIBUSのエラーとしても、発生する要因として
・機器のエラー
・エンジニアリングによるエラー
・取り付け(設置、接地等)によるエラー
・ノイズによるエラー
などがあります。
アナライザーなどを使って、異常の原因をチェックすることが求められます。
日本プロフィバス協会は、実際の現場でチェックする有償サービスを用意しています。
(PROFIBUS機器設置環境チェックサービスのページへ)
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